電車にまつわる不思議な話は、有名な「きさらぎ駅」の話に代表されるように異世界に入り込んだというものから怪談まで色々とあります。
今回は、来るはずのない謎の電車を目撃したカップルの話です。
それでは、「時空を彷徨う異世界行き電車の怪」本編をお楽しみください。
時空を彷徨う異世界行き電車の怪
当時付き合っていた恋人と、駅のホームで喋っていました。
明日から夏休みだったかで19時過ぎても空が明るかったのを覚えてます。
田舎なので一時間に一本しか電車(と言うより鉄道で一両しかない)が来ず、来ても1人、2人しか降りる人はいません。
19時半を過ぎた頃、19時の電車が私達を通り過ぎて、ようやく空が赤くなった事を知り、そろそろ帰ろうかと立ち上がりました。
その時です。トンネルの向こうでライトが見えました。
19時の電車の後は21時着の電車しかないはずなので、彼と2人なんだろうね?とトンネルを眺めていました。 すると、トンネルの中から見慣れぬ緑の車両(確か黄緑みたいな…)の電車が出てきました。
この地域に緑の電車なんて走っていません。
私と彼は呆然としながら緑の電車が近付いてくるのを見ていました。
すると彼がボソッと言いました。
「あの電車、音がしないな」
言われてみて、気が付きました。
電車の走るガタンゴトンという音が無く、無音で私達に近付いて来るのです。
スピードは普通の電車くらいでしょうか、音のない緑の電車は私達の前に止まりました。
そして、スーッとドアが開き、中を見ると無表情な運転士が私達をジッと見ていました。どんな人からあまり記憶にないです。。。咄嗟に彼が「あっ乗りません」と言うと、ドアが閉まりまた、無音で動き出しました。
そして電車が目の前を通り過ぎ、後部を見せた時に気持ち悪いものを見てしまいました。
後部に20人くらいの人がぎゅうぎゅうにいて、全員が私達をじっと見ていました。
まさに老若男女といった感じの。
その後の記憶はあまり無いですが、先日、同窓会で彼に久しぶりに会った際に思い出したんで書きました。
参考:NAVER まとめ
解説と考察
時刻表にも乗っていない時間に見慣れぬ電車が目の前に現れて、まるで乗れと誘うかのように扉が開き、とっさに「乗りません」と言うと扉が閉まりどこかへ走り去っていったという何とも怪談じみた話です。
この話の一番の特徴は「音がしない」事。今まで集めてきた異世界の話でも、音のない世界というのは沢山ありました。電車が異世界から迷い込んで来たのか、カップルが異世界に迷い込んだのか、謎が謎を呼ぶ話ですね。
非現実的だが、回答に近いものがあります。
それは、「偽汽車」。
古典怪談 偽汽車
古典と言っても、この話が成立したのは明治なので100年くらい前に語られていた貴社にまつわる怪談、偽汽車。
キツネやタヌキなど、変化して人を化かす能力を持つ動物が夜な夜な、汽車に化けてレールの上を走行するというもの。本物の汽車の正面に偽汽車が現れ、衝突回避のために急ブレーキをかけたらなぜか汽車は消えている。そのまま衝突してしまった場合も汽車は消えるが、次の日にキツネかタヌキの死体が発見されるというもの。
古典怪談のため信用性に欠けるが、今回の話はカップルを化かす為に現れた偽汽車と考えるとしっくり来る。
ジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」ではないが、動物と共存できる世界を作れという一種の警告なのかもしれませんね。